Kakubu no Meishou (各部の名称) = Name of All Parts
- Hana (花) = flowers
- Ha (葉) = leaves
- Ne (根) = roots
- Kikon (気根) = aerial roots
- Velamen (ベラーメン)= special epidermis
- Tsuke (附け) = abscision layer / connection between stem and leaf
- Osa (筬) = space between leaves
- Jiku (軸) = axis / main stem
- Tenba (天葉) = top leaf
- Segaku-ben (背萼弁)= dorsal sepal
- Gawaka-ben (側花弁) = petals
- Shinboshira (芯柱) = column, top part is anther, below is stigma
- Gawagaku-ben (側萼弁) = lateral sepals
- Shin-ben (唇弁) = labellum
- Kyo (距) = spur
- Shibou (子房) = ovary
Amami Furan (奄美風蘭) = collected from Amami Island, it is larger than normal Furan and flowers later
Kumo o Ukaberu (雲を浮かべる) = floating cloud, variegation becomes vaguer and looks more like tiger stripe as new leaf grows
Mimizuri (耳摺り) = variegation appears a little on leaf margin
Nakasuke (中透け) = variegated center
Nochizae (後冴え) = to become vivid later, variegation gets clearer when leaf gets old, also known Nochihaze (後晴ぜ), to become clear later
Tenzae (天冴え) = top leaf is vivid, variegation appears clearly from the first, also known as Imahaze (今晴ぜ) = it is vivid now, or Nochikurami (後暗み) = darkens later, variegation gets vaguer or loses variegation when leaf gets old
Nori-fu (乗り斑) = blurred unclear tiger stripe appears on the whole surface of the leaf
Sukashiboshi (透かし星) = special feature in which part of the leaf gets thin and looks like star when seen through sunlight
Suminagashi (墨流し) = dark ink-like stripe
Kawari (変り) = mutant flower
Dan-zaki (段咲き) = stair-like arrangement
Ten-zaki (天咲き) = flower blooms upward
Sancho-zaki (三蝶咲き) = three spurs
Hasugata ni yoru Bunrui (葉姿による分類) = Leaf Types
Nami-ba (並葉) = common shape leaves
Hime-ba (姫葉) = all the leaves gently curved arc seen from the side
Tachi-ba (立ち葉) = upright standing leaves
Tsuyuuke-ba (露受け葉) = the tip of the leaf which gently drops then turns upward
Wankyoku-ba (湾曲葉) = leaves strongly curved seen from side, for example SEIKAI
Mujihagawari (無地葉変わり) = Plain Leaf Types
Mame-ba (豆葉) = bean-shaped leaf
Hari-ba (針葉) = needle-like leaf, being fine and linear, inevitably the leaf meat becomes thick and hardened
Rasha-ji (羅紗地) = rough surface leaves with fine irregularities / frosted like sandpaper
Kurui-ba (狂い葉) = Shishi-ba (獅子葉) = screw type leaf, irregularly deformed
Noshi-ba (熨斗葉) = deformed leaf like pinching the left and right edge of the leaves, thus surface of the leaf hides inside
Yasuri-ji (鑢地) = mutation with fine unevenness on the surface of the leaf
Koryu-ba (甲竜葉) = mutation causing gutter-like texture on the leaf surface, the origin of development from two leaves that failed to separate
Fuiri ( 斑入り) = Variegation
Shima (縞) = striping
Naka-fu (中斑) = inner variegation
Tsume-Fukurin (爪覆輪) = tip fukurin variegation
Tora-fu (虎斑) = tiger stripe
Fukurin (虎斑) = marginal variegation
Chiri-fu (散り斑) = spread pattern
Jiku ni yoru Bunrui (軸による分類) = Axis Types
Doro-jiku (泥軸) = mud brown axis / main stem
Ao-jiku (青軸) = green axis / main stem
Tsuke ni yoru Bunrui (附けによる分類) = Tsuke Types
- Tsuki-gata (月型) = crescent moon shape
- Ichimonji-gata (一文字型) = straight line
- Yumi-gata (弓型) = bow shape
- Yama-gata (山型) = mountain shape
- Nami-gata (波型) = ocean wave shape
- What is Tsuke? It refers to this part (circled red)
Nesaki ni yoru Bunrui (根先による分類) = Root Tip Types
Doro-ne (泥根) = mud brown root tip
Ao-ne (青根) = green root tip
Shira-ne (白根) = white root tip
Ruby-ne (ルビー根) = ruby root tip
富貴蘭の芸と用語
葉の変化
斑芸/標準は無地葉 (斑が入らない)。主に、縞. 覆輪. 中班. 中透け. 虎斑に大別される。ほかに、散斑(緋斑)· 曙斑· 腰斑などがある
葉型/標準は並葉。立葉. 姫葉. 湾曲葉. 露受葉などがある
葉芸/豆葉. 針葉. 甲竜葉. 鑢葉. 羅紗葉照葉. 狂葉. 桶葉. 熨斗葉. 管葉· 鈴虫剣· ガシ· コンペなどがある
付けの型
付けは、葉の離脱層の部分。品種選別の指標になる。
標準は月型。ほかに、一文字型. 山型. 波型がある
軸の色
軸は、葉の付け根あたりで植物体の中心部。品種選別の指標になる。
標準は泥軸 (茶~赤茶色に染まる)。ほかに、青軸(染まらない)· 紅軸 (泥軸で赤みが強い) がある
根の色
生長期の根先の色を観賞する。標準は泥根 (茶色~赤茶色)。
ほかに、青根·ルビー根· 赤根· 黄根· 白根などがある
花の変化
花色/標準は白色。赤色, 緑色. 黄色 (クリーム色) などがある
花型/大輪花. 円弁花. 糸弁花. 多舌花などがある
咲き方/八重咲き。蝶咲き·兜咲き。子宝咲きなどがある
縞(しま) – shima
葉元から葉先にかけて入る筋状の斑。太いー本だけの斑を「棒縞」という
覆輪(ふくりん) – fukurin
葉の縁に回るように入る斑。太く入ると「大覆輪」、細く入ると「糸覆輪」という
爪覆輪(つめふくりん) – tsumefukurin
葉先のみに現れる覆輪状の斑
切り込み覆輪(きりこみふくりん) – kirikomifukurin
覆輪が均一でなく、縁に筋が入る。代表種は“西出都で、「西出芸」ともいわれる
紺覆輪(こんぷくりん) – konpukurin
萌黄の中透けとなった葉の緑の地合い部分を、緑の覆輪に見たてた表現
中斑(なかふ) – nakafu
葉の中心に入る斑。「中透け」や「中通し」も含まれるが、一般には萌黄斑が多い
中透け(なかすけ) – nakasuke
葉の中心に入る白~黄色の斑。透けたように見えるゆえの表現
中通し(なかどおし) – nakadooshi
葉の中心に細く入る斑。般に中透けよりも細い斑をいう
虎斑(とらふ) – torafu
不規則に現れる大小の斑を、虎の尾の模様に見立てた表現
切り虎斑(きりとらふ) – kiritorafu
斑の部分と緑の境が、はっきりした虎斑
曙斑(あけぼのふ) – akebonofu
新葉が白色~黄色で上がり、後に暗む斑。富貴蘭では虎斑の一種として扱われる
雲(くも) – kumo
柄が冴えてくる時に現れる境界がはっきりとしない斑。「雲を浮かべる」と表現する
幽霊(ゆうれい) – yuurei
緑を含まない斑のみの葉
散斑(ちりふ) – chirifu
細かく点状に入る斑。緋斑ともいう。縞に混在すると、「散斑縞」という
松葉(まつば) – matsuba
本来の斑に、緑の散斑が混在して入る様子。「松葉を散らす」と表現する
墨(すみ) – sumi
大工が木材に打つような黒い線。光沢のある線で、後に黒くなる場合もある
小豆斑(あずきふ) – azukifu
下葉にアントシアニン色素が濃く現れた状態。日を強く採ると現れ、本来の斑ではない
糊を引く(のりをひく) – noriohiku
葉の表面が糊を塗ったようにくすみ、滑らかで艶のない状態。代表種は’富貴殿’
耳摺斑(みみずりふ) – mimizurifu
葉の縁に不規則に入る擦ったような斑
紅隈(べにくま) – benikuma
斑の部分にアントシアン色素が乗り、紅色の斑のようになること
腰斑(こしふ) – koshifu
付け辺りを腰に見立て、その部分に出る斑
紺性(こんせい) – konsei
葉緑の濃さ。濃いものを「紺性が強い」、薄いものを「紺性が弱い」などと表現する
天冴え(てんざえ) – tenzae
斑が新葉から入り、下葉まで残るもの。新葉に入らないものを「後(のち)冴え」という
暗む(くらむ) – kuramu
斑が徐々に消えて、緑の葉に近づいていくこと
立葉(たちば) – tachiba
葉元から立ち上がり、一直線に伸びる葉
姫葉(ひめば) – himeba
葉が緩やかに弧を描くように曲がる葉。女性的な優しさを感じさせるゆえの表現
湾曲葉(わんきょくば) – wankyokuba
葉が大きく円を描くように湾曲する葉。湾曲が特に強いものを「輪反り」という
露受葉(つゆうけば) – tsuyuukeba
先端が上に反り上がった葉。「受葉」ともいう
豆葉(まめば) – mameba
葉長が極端に短くなったもの。ボリューム感ある姿で、大きさは小型とは限らない
針葉(はりば) – hariba
葉幅が極端に狭くなり、針のように細く鋭く尖った葉
甲竜(こうりゅう) – kouryuu
葉の一部が盛り上がり波を打ったりするにと。葉裏に出ると「裏甲竜」と呼ぶ
堅条線(けんじょうせん) – kenjousen
葉の表面に縞状に入る凹状の白い線
鑢葉(やすりば) – yasuriba
表面にヤスリの目のようにシワが入りザラザラとした葉
羅紗葉(らしゃば) – rashaba
表面に細かい凸凹が現れた状態を、紡毛織物のけばだった様子に例えた表現
絹地(きぬじ) – kinuji
葉の表面が滑らかで、きめ細かい地合い
照葉(てりば) – teriba
表面が滑らかで、強い艶がある葉
狂葉(くるいば) – kuruiba
不規則に曲がったりねじれだりする葉
樋葉(といば) – toiba
中心から折れ、断面がV字になる葉。葉の表面が完全に合わさると「管葉」という
熨斗葉(のしば) – noshiba
中心から折れ、中央で合わさり先にかけて開き、慰斗のような形になった葉
鈴虫剣(すずむしけん) – suzumushiken
葉先を摘んで失らせたような葉芸を、スズムシの輸卵管に見立てた表現
力葉(りきば) – rikiba
葉先がへの字に折れ曲がった葉。力強い印象を与える
丸止め(まるどめ) – marudome
葉先が細くならずに、丸みを帯びる葉の状態
木の葉型(このはがた) – konohagata
葉の中央の幅が広く、木の葉のように見える葉。代表種は大江丸縞
ガシ – gashi
葉の一部が盛り上がり線状に連なる。立状線ともいう
コンペ – konpe
金平糖のように突起が出る芸。富貴蘭の場合は異なる葉質が本来の葉の中に含まれる状態
月型(つきがた) – tsukigata
付け(葉の離脱層の部分)の形が半円弧を描くもの。標準的な付けの形
一文字型(いちもんじがた) – ichimonjigata
付けの形が直線のもの
山型(やまがた) – yamagata
付けの形が凸状のもの
波型(なみがた) – namigata
付けの形が波状のもの
泥軸(どろじく) – dorojiku
軸(葉の付け根あたりで植物体の中心部)が茶~赤茶色に染まるもの。標準的な軸の色
青軸(あおじく) – aojiku
軸にアントシアニン色素が乗らずに緑色のもの
紅軸(べにじく) – benijiku
軸にアントシアニン色素が乗り、鮮やかに赤く染まったもの
泥根(どろね) – dorone
生長期に伸びる根の先端部が茶色~赤茶色。標準的な根の色
青根(あおね) – aone
生長期に伸びる根の先端部が緑色のもの
ルビー根(るびーね) – rubine
生長期に伸びる根の先端部が冴えた赤紫色になるもの
葉繰り(はぐり) – haguri
葉の枚数。下葉が残り、葉が多いと「葉繰りが良い」と表現する
襟組み(えりぐみ) – erigumi
葉の根元を着物の襟に例え、規則正しい様子を「襟組み(襟合わせ)が良い」と表現する
筬(おさ) – osa
葉と葉の間隔。狭いものを「歳が詰まる」、広いものを「筬が緩い」と表現する
天葉(てんば) – tenba
一番上の新しい葉
稚葉(ちば) – chiba
幼苗の一番下の小さな1~2枚の葉。生長しても大きくならずに落葉する
日本富貴蘭会の平成26年度撰第65号富貴蘭銘鑑
銘鑑とは登録品種を相撲の番付表に習って掲載したもの。 品種の人気や普及具合により格付けされ、 掲載位置が決まり、時代を反映し、富貴蘭の歴史のひとつとしても重要な資料料。
◆縦方向の格付けは、優秀品→全盛品と続き、優秀品の最上位は上段中央く富貴殿〉で、次いで上段右端《金牡丹》→同左端く大江丸縞)、下段中央《満月》→同右端く楊貴姫》→同左端《慶賀》、中段中央《御旗》一→同右端く卑弥呼》→同左端〈翠扇》の順となる。続く全盛品の最上位は、上段中央の右枠(玉錦》→左枠《銀世界》、上段右の右枠(雲龍滝)一→左枠(幽谷錦)、上段左の右枠く金広錦》→左枠《連城丸》、次いで、下段中央の右枠く豊明殿》→左枠(旭昇》…と続く
◆横方向の格付けは、別格稀貴品→稀貴品→全盛貴品一→貴品→全盛品と続き、さらに各枠内の格付けを別格称稀貴品を例に見ると、最上位は右枠右端《湖東錦》で、次いで左枠右端《罷〉、右枠右端く白牡丹〉…と続き、最下位は左枠左端く牡丹錦》となる
◆左側外枠の新登録品種は翌年度に稀貴品の右枠右端へ並べられる。翌々年度には、その人気にふさわしい格付けの枠へ置かれる
◆格枠からの昇格は上段の左枠左端へ、降格は下段の右枠右端へ置かれる
はじめに
「富貴蘭」とは、日本に自生する着生蘭の一種、フウランの園芸品種の総称です。そのシンメトリーの多肉質の葉は、多様な色彩と形で輝きを放ち、美しい、可愛い、格好が良い、はたまた滑稽である、奇っ怪であるなど、人々のあらゆる感性を刺激します。
この富貴蘭をべテランの園芸家が“最後に行き着く植物”と評する由縁は、その溢れる魅力にあります。最も親しみやすい魅力は、その甘く清涼感のある秀でた花の香りです。この香りから富蘭に夢中になった愛好家は多く、良い香りの花を咲かせる植物の一番手に挙げる方も少なくありません。
また、「枯れることはない」と言われるほど丈夫で、栽培が容易なこと、コンパクトで場所を取らず、都会のマンションのベランダでも充分に楽しめることは、忙しく住環境に恵まれない現代人にとって園芸上の大きな魅力となっています。
そして、ゆっくりと、でも確実に生長する様子は、しばし時を忘れ、癒しを感じる素敵な時間をもたらしてくれるのです。
本書では、富貴蘭の魅力を様々な角度からご紹介します。富貴蘭を愛する人々により受け継がれる魅惑の世界をご覧下さい。